大判例

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大阪地方裁判所 昭和35年(行)55号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕右事実によれば、本件土地は、戦時中から戦後にかけて、(本件買収処分がなされた昭和二四年三月当時も)食糧難の折から、所有者に無断で、小学校ないし同関係者がいわゆる休閑地利用として、その面積の四分の一弱の部分で甘藷作りを行つていたに過ぎないものであつて、その大部分は、松が生育し、あるいはその日蔭であるため甘藷作りでさえできないのであるから、右休閑地利用が行われた部分のみならず、その全体について、農耕の用に供せられた土地であるということはできず、小学校校舎跡の純然たる宅地にほかならないことが何人の目にも明白であるというべきである。<中略>

二、取得時効の抗弁について(被告津下、引受参加人)。

<証拠>弁論の全趣旨を総合すると、被告中田は、昭和二五年三月二七日頃売渡通知書の交付を受け、その頃から、もつぱら農業専業者である父訴外中田仙次郎に、本件土地のうち従前より休閑地利用がされていた部分で蔬菜作りをさせて、本件土地全部の占有をはじめたことが認められ、……そして、右占有は、民法一八六条一項により、所有の意思をもつて、善意、平穏かつ公然であると推定されるが、右推定を破る証拠はない。

そこで、右占有のはじめ、無過失であつたかどうかについてみる。前記被告知事に対する請求について示した判断のとおり、本件買収処分は本件土地を農地と誤認したものであり、右誤認は何人の目にも明らなところであるから、本件買収処分が無効である結果これにより原告が本件土地の所有権を失うものでないこと、したがつて右買収処分の有効であることを前提とする売渡処分も無効である結果これにより被告中田が売渡により本件土地の所有権を取得しないことは、なんらの調査をするまでもなく明らかであつたのである。このように、本件土地が非農地であることが明らかな場合、被告中田において、農地としての売渡処分により本件土地が自己の所有地となつたと信ずるについて過失があつたとするのが相当であるから、同被告は、民法一六二条二項により一〇年の期間をもつて本件土地所有権を時効取得する利益を享受し得ないというべきである。(山内敏彦 平田孝 石井一正)

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